アミ姫、それはフルーティーな香り。
2018/11/07
適当な棒状のものに糸を付けて、先っちょにミミズを刺した針をぶら下げる。そいつを水面にひょいと投げて、じっと待つ。
きっとこういうのが、釣りをしたことがない人が持つ「釣りのイメージ」ではなかろうか?
かくいう私もそうだった。
実際、釣り堀で体験した釣りもそんな感じだったからだ。まあ、あのときはミミズじゃなくてチーズだったけど。釣りには様々な釣り方があるようだ。
魚の種類の数だけバリエーションがある、といっても過言ではないと思う。
「S漁港で娘さんと?いいですね。サビキ釣りですか?」
会社の同僚で、もうひとり釣りが好きな女性社員がいた。
へぇ、女性でも釣りする人っているんだな、と思った。
これも勝手なイメージだ。おっさんと少年しかやらないイメージがあったから。
「サビキ?なんですかそれ?」
私は何も知らなかった。"サビキ釣り"という釣りの方法があるようで、しかもそれは、最も手軽かつ、誰でも釣れる方法なのだそう。
釣り糸にたくさん針をつけて、上の方に練った餌が入ったカゴを付けて、その餌を海中に溶け出させ、魚たちをおびき寄せて釣る、という感じのやつだ。
▼こんな感じ

親子で楽しむ「ファミリーフィッシング」。なんというホッコリした響きだろう。私がやろうとしているのはまさにこれだ。
サビキ釣りでファミリーフィッシング。
はい。ということで、会社の昼休みに行きましたよ。
全国167店舗展開!釣り具の「上州屋」!
ズドン!

私の職場から車で2分。近くて助かる。
考えてみれば、漁港も家から車で10分、釣具屋も職場の直ぐそば。
釣りをするには願ってもない環境なのだろう。
上州屋に入ってすぐに、その「ファミリーフィッシング」のコーナはある。
お手軽に釣りを始めてみませんか?といった、商品構成の棚だ。
安い釣り竿とリールのセットとか。安価な初心者用の釣り道具が並んでいる。
もちろん、「サビキ釣り」のセットも売っていた。
餌もいろいろあったが、私が買ったのはこれだ。

アミ姫(フルーティな香り)
▼使い方はこうだ。
乾いてない桜エビみたいな感じなのね。アレをウィダーinゼリー的なパッケージからニュルッと出して、カゴにいてれ海に放ると。
なんて簡単なんだろう。
確かに臭いも思ったよりも生臭くない。フルーティな気もする。でもまあ臭いっちゃ臭い。
と、いろいろ装備も揃えて週末は、娘を釣れてS漁港へ。
「目的地に到着しました。お疲れ様でした。」
グーグルマップ様のお導きの通りに車を走らせ、たどり着いたのは小さな漁港。
自ら漁港に来たのは、生まれて初めてかもしれない。
さて、どこからどこまでが漁港なのか、どの辺りで釣りをしていいのか?よくわからない。
子供用のライフジャケットを着て釣り竿を担いだ、やる気満々の娘を連れて、あっちでもないこっちでもないとウロウロすること10分。
何となくこの辺りかなーというポイントに陣取って仕掛けの準備。
アミ姫を取り出してニュルニュルとやってると、
「うわ。キモ。」と娘。
「大丈夫。香りはフルーティだから。」と私。
「オエ!くっさ!」と娘。
「うっせーな、黙って待ってろ!」と私。
早くも「楽しいファミリーフィッシング」に暗雲である。
なんとか準備ができて、釣り糸を垂れる。

娘「まだ?」
私「まだまだ。これからこれから。」
娘「これ暑い。」
私「ライフジャケットは着ておけ。」
娘「釣れない。」
私「そんなにすぐ釣れない、と思う。」
娘「おしっこ。」
私「よし、帰ろう。」
私の娘は気が短い。
ましてや、釣り堀でひょいひょい釣れた成功体験があるため、気長にのんびり釣るっていうのが、そもそもイメージと違ったのだろう。
娘「釣りってさ、2000%退屈。」
…2000%か。これはまずい。
「お父さんすごい!」が遠のいてしまった。
もう一回今度は私一人で来て、
ちゃんと釣れてからにしよう。
なんなら誰かに一回教えを乞う事にしよう。
という流れで、これから先、
私はどんどん「釣り」という深い深い魔の沼に足を踏み入れて行くのである。
つづく。