アンディ・ウォーホルの自由研究(0.はじめに)
2020/02/19
ウォーホル
一個前の記事で、ウォーホルについて調べ物をしているって書いたんですが、まだやってます。
アンディ・ウォーホルを知ろうと思うと、その前後の美術史やら作家やら時代背景やらと、色々裾野が広がって来ちゃって大変。
というわけで、少しずつだけど、わかって来たことをここに書くことにします。
テーマ「物の価値と市場の仕組み」
〜「なんであんなもんが1億もするんだ?」の回答として〜

いつの世も、何かをマニアックに収集している人、つまり「コレクター」という人々がいる。
切手やビンテージの食器、ジャズのレコード、スニーカー、古いアメリカのおもちゃなど様々なジャンルで愛好家やコレクターは存在する。
特定のジャンルでコレクターの数が多くなってくると、コレクターの間で売買が行われるようになる。つまり二次的な「マーケット(市場)」が生まれる。
一定数のコレクターや愛好家が安定的に存在するマーケットの中で、定価の何倍も高い値段で取引される物があるとする。愛好家なら誰しもが欲しがり、それを持つ者は羨望の眼差しを集める。そういう「人気商品」だ。
例えばそれは、安土桃山時代の武士が欲した千利休の限定品の黒茶碗であり、90年台後半の裏原宿において若者達が行列を作ったNIGOの猿のTシャツである。


これらのように、そのもの自体に人気があり、また、それを所有する者や使う者のステータスをも上げてしまう商品が「ブランド商品」というやつになる。
「人気のブランド」が誕生すると、そのマーケットにはコレクターや愛好家じゃない人達も入ってくる。
ブランド品を買って自身のステータスを上げようとする成金野郎、そうでなければ転売屋である。
転売屋はその「商品」を投機目的で購入し、他のコレクターや成金野郎にさらに高く売って稼ごうとする、というわけだ。
どんなジャンルでも、愛好家とコレクターがいれば、自動的にこのようなマーケットは生まれて育つ。
逆に、愛好家とコレクターがいなければこういうマーケットは生まれようがない。
そして、上記で言うような「人気ブランド」の登場によって、そのマーケットはさらに大きくなり人と金が集まってくる。
現代のアートの世界も、こういう理屈で動いているんじゃないかと思う。
1960年代のアメリカで、スロバキア移民の三男坊、アンドリュー・ウォーホラという男が、このような「物の価値とマーケットの仕組み」を利用して「アンディ・ウォーホル」という超人気アートブランドを作りあげた。

手始めに、「アート」というジャンルの愛好家やコレクターの人気を得て、メディアと有名人を利用してブランド価値を高め、やがて成金野郎と転売屋も集まり、そして、西洋のアートの価値なんて全然わからない、わかりようもないアジア人の私達をも飲み込んだ化け物ブランドが、今もなおその価値を上昇させ続けながら存在している。それが「アンディ・ウォーホル」なのだ。
→次回につづく。
アンディ・ウォーホルを知ろうと思うと、その前後の美術史やら作家やら時代背景やらと、色々裾野が広がって来ちゃって大変。
というわけで、少しずつだけど、わかって来たことをここに書くことにします。
テーマ「物の価値と市場の仕組み」
〜「なんであんなもんが1億もするんだ?」の回答として〜

いつの世も、何かをマニアックに収集している人、つまり「コレクター」という人々がいる。
切手やビンテージの食器、ジャズのレコード、スニーカー、古いアメリカのおもちゃなど様々なジャンルで愛好家やコレクターは存在する。
特定のジャンルでコレクターの数が多くなってくると、コレクターの間で売買が行われるようになる。つまり二次的な「マーケット(市場)」が生まれる。
一定数のコレクターや愛好家が安定的に存在するマーケットの中で、定価の何倍も高い値段で取引される物があるとする。愛好家なら誰しもが欲しがり、それを持つ者は羨望の眼差しを集める。そういう「人気商品」だ。
例えばそれは、安土桃山時代の武士が欲した千利休の限定品の黒茶碗であり、90年台後半の裏原宿において若者達が行列を作ったNIGOの猿のTシャツである。


これらのように、そのもの自体に人気があり、また、それを所有する者や使う者のステータスをも上げてしまう商品が「ブランド商品」というやつになる。
「人気のブランド」が誕生すると、そのマーケットにはコレクターや愛好家じゃない人達も入ってくる。
ブランド品を買って自身のステータスを上げようとする成金野郎、そうでなければ転売屋である。
転売屋はその「商品」を投機目的で購入し、他のコレクターや成金野郎にさらに高く売って稼ごうとする、というわけだ。
どんなジャンルでも、愛好家とコレクターがいれば、自動的にこのようなマーケットは生まれて育つ。
逆に、愛好家とコレクターがいなければこういうマーケットは生まれようがない。
そして、上記で言うような「人気ブランド」の登場によって、そのマーケットはさらに大きくなり人と金が集まってくる。
現代のアートの世界も、こういう理屈で動いているんじゃないかと思う。
1960年代のアメリカで、スロバキア移民の三男坊、アンドリュー・ウォーホラという男が、このような「物の価値とマーケットの仕組み」を利用して「アンディ・ウォーホル」という超人気アートブランドを作りあげた。

手始めに、「アート」というジャンルの愛好家やコレクターの人気を得て、メディアと有名人を利用してブランド価値を高め、やがて成金野郎と転売屋も集まり、そして、西洋のアートの価値なんて全然わからない、わかりようもないアジア人の私達をも飲み込んだ化け物ブランドが、今もなおその価値を上昇させ続けながら存在している。それが「アンディ・ウォーホル」なのだ。
→次回につづく。