イーゴン自治区

空地のハンナとPOPアートについて

2021/05/20 ウォーホル
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「ドメインガール」っていうんでしょうかね?この写真。見たことありますよね?
20代前半の人とか、インターネット自体をほぼ見ないという人は、知らないかもと思うけど。

例えば、あるウェブサイトを見ようとしたら突然この画像が出てくる、という風な出会い方をしますよね。
彼女が現れると、「ああ、あのサイト無くなったんだなぁ。」という感になるわけです。

そのWEBサイトのURLのドメインが解約・解除された、または、他のドメインにサイト事引っ越して空き家のようになってしまった、という状況でこの女性の写真が登場。
つまり、「ここは空地よ。」という意味の写真、と言えます。

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最近では、ネット上で彼女の写真をほとんど見なくなったので、ちょっと調べてみると、2010年ころに引退しているようです(引退っていうのも変な感じですが)。


彼女の名前は、ハンナ・ステラーというアメリカ人女性。カンザスシティに住んでいるそうです。
彼女のお兄さんが写真家で、写真素材サイトの「iStockPhoto」で、この妹の写真を売ってたようなのですが、おそらくたまたま、例のドメイン切れのページを作っていた人が「なんか殺伐とするとアレだから、適当な女の子の写真とか貼っといたほうがいいな。」みたいなノリで、このハンナさんの写真を、適当に買って貼った、という事なんでしょうねきっと。


いきさつがどうあれ、実態がどうあれ、結果的にこのリュックを背負ったハンナさんの写真は、世界中のインターネットユーザーの間では「空地」を象徴する記号になったわけである。

ちょっと想像してみる。
このハンナさんの写真を、インターネットにあんま詳しくない人、例えば私の実家の家族とかに見せて「どう?」って感想を求めてみたい。

母「感じの良さそうな娘さんだね。学生さん?」
父「ばか、ハリウッドのあれだろ、シャロンストーンだろ?」
姉「いい構図ね。色合いもクリアでさわやか。」

といった感じになると思う。

要するにこうだ。

・ハンナさんの写真を見て、感想を言う事は誰にでもできる。
・この写真を見て「空地」という意味を感じる人は全員ではない。



このハンナさんの写真のように「有名になる」という事は、何かの象徴や記号になる可能性が高い。
つまり「有名なもの」には、表面的な、見た目的な情報の他に「意味」が付加されている。


例えばこのカラーバー。ただのカラフルな色面だが、放送の中断、つまり「不在」を意味している。

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アメリカのPOPアートがもしこういう事なんだとしたら、私がウォーホルのことなんか体感的に理解できるわけがなく、色が形がいいだの悪いだの、というレベルでしかそもそも評価はできないのだろう、と思うわけです。

だって、知らねえし、キャンベルスープとか。
マリリン・モンローとかもピンとこないし。日本で言うと誰になるの?五月みどりか?


有名なものには、そのビジュアルには関係無く「意味」が与えられる。
そうして「意味」を与えられたもののビジュアルを、絵画にする。
その絵画が有名になれば「意味」が与えられる。


という、マッチポンプ的な価値の永久機関の仕組みを作ったのがウォーホルなのでしょう。

「有名」=「一般認知」=「記号」、という事。

これを直接的にやってたのが、ジャスパー・ジョーンズだったんだな。
この「記号」を直接絵画として書いちゃうっていう。でもそれだけの事。




「POPアート」っていう呼称は、ポピュラー・アート。
「有名芸術」という事だったのです。面白いですね。






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