サザエの奥のほうにあるやつも、あれはあれで旨いから。

2021/06/02
描かれているモチーフにもよりますが、例えば、赤・青・黄・オレンジというような原色で描かれた絵は「子供っぽい」印象があると思います。
音楽でいうと、|C C|F C|F C|G C|というようなシンプルなコード進行は「子供っぽい」印象がします。ちなみにこれは、きらきら星のコード進行です。リズムやメロディーもそう。ドドソソララソ、ファファミミレド、です。

料理の味付けにも同じようなことが言えます。
ホットケーキにはちみつ、というよりは、メイプルシロップにシナモンのほうがやや大人っぽいかもしれません。
子供の頃は「甘いとしょっぱいとカレー味が正義」という単純だった物差しに、苦みや辛みや酸味などの価値観が加えられて、物差しの長さも伸び、目盛りが細かくなってゆく。そうして子供の頃には測れなかった長い物や細かいものも測ることができるようになる、という感じ。

数学とか詩や文学、ファッションとかにも同じようなことがあると思います。

「子供っぽい組み合わせ」から始まって、その配合の割合が複雑化することでバリエーションが増え、いつか「大人っぽい」の感覚と出会う。


|Cm7|F7|B♭Maj7|E♭Maj7|D7|Gm7|G7|。
「枯葉」のコード進行です。きらきら星の無邪気さと比べると、大人びた複雑な味です。コードの見た目もややこしそうな感じがしますよね。


こういう絵画もでたらめに見えるかもですが、全然幼稚な印象ではないですよね。
(Mary Weatherfordの作品)

MaryWeatherfor.jpg



「人間関係」というやつにも、これと同じようなことが言えるだろうなと最近思ってて、例えばそれは、赤・青・黄とか、甘い・しょっぱい・カレー味しか選択肢がないというわけじゃないし、「起立・礼・着席」が「C|G|C」の他に「CM7|Fm6|CM7」っていうアンニュイなバリエーションがあっても構わないよね、っていう事なんすけどね。

つまり、価値を測る物差しの幅を大きくし、グラデーションの段階を細かくすることで、ようやく最近流行りの「多様性」っていうのを許容することができるんだと思うのですが、それって同時に「大人っぽさを覚えてしまう事」でもあると思うんです。

生き方や、ジェンダーや、豊かさの定義。それらの多様性について。


つっても、多様性を「何でもアリ」という風に解釈したくはないので、なんていうか、美食家みたいな振る舞いと好奇心を持ってダイバーシティを前向きに生きていきたいな、と思います。

ぼくピーマン嫌い!とか言ってる時代はもう終わり。
サザエの奥のほうにあるやつも、あれはあれで旨いという事を知るべきだ。



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