3年前に魚釣りを好きになってからというもの、それに付随するものに対する執着が芽生えてしまい、「一体この世はどこからどこまでが“魚釣り”なのか?」という感覚を持ってしまった。
例えば、釣り竿やリールなどのアイテムに狂う。ルアーに狂う。とにかく釣る魚のサイズに狂う。というように、魚釣りというものを起点にしつつもフォーカスする興味範囲は人それぞれだ。ファッションにこだわる者もいるし、釣りに行くための車の仕様や内装にこだわる者もいる。余談だが、魚釣りに興味を持ち始めたばかりの頃にみた釣り雑誌の中に、SUZUKIのジムニーに広告があって、キャッチコピーが「車は釣り具だ!」というものだった事に衝撃を受けたことがあった。
魚釣りに狂っている人々を悩ませる事は何か?
「魚釣りをしていない時は何をするか?」である。どうかしてる。
スマホで遊べる適当な釣りゲームやるとか、ゲーセンで子供を押しのけて「釣りスピリッツ」やるとか、なにか代替えになるものを試すがこれはすぐに飽きる。武士が刀をポンポンするように、とにかく愛用のリールや竿をメンテナンスしたり、釣り針の先をダイヤモンドコートのやすりで研いだり、ネットで潮の満ち引きの具合や風の向きや強さを調べたり、とにかく脳の中は釣りしかない。コンビニでグミをみれば「これエサにしたら釣れる気がする」とか、足元に輪ゴムが落ちていれば「これエサにしたら釣れる気がする」とか、正気ではない。とにかく脳内はいつも魚釣りだ。
Google MAPばかり見ている。これも魚釣りだ。
日本の沿岸部をなぞるように見る。漁港や防波堤や突堤などの人工的に作られた構造物を上空から観察する。
ここはよく釣れたな、ここは行った事が無いな、ここはもっと釣れそうが、そもそも立ち入り禁止かもしれないぞ、といった具合にだ。
コンクリートで作られた直線的な構造物。島国の沿岸を波による浸食などの被害から守るために作られた防波堤。
仕方なく、しかし暴力的に自然の沿岸に組み入れられた人工物。なにやら虫歯の治療跡のように感じる。ダムとかもそういう類の土木建造物全般に対してそう思う。
防波堤や港湾というのは、Google MAPを眺めているだけでもなかなか面白い。形状の傾向や法則性のようなものは感じられるが、同じものは2つとして無く、ユニークである。
日本は島なので、国土のアウトラインに添って見ていくだけで、膨大な数の港湾と防波堤に出会える。
MAPで見て気になる場所には、合間を見つけて車を走らせる。魚釣りをする時間が無い場合もあるが、手ぶらでもいいからその場に立ってみたいのだ。しかし、実際に行けるのは自分の生活圏内+α、といったところだ。新潟県に住んでいるので、長崎の五島列島には当然気軽には行けない。
歯がゆい。
行き場のないこの想いが、私にトレースをさせる。
GoogleMAPの漁港や防波堤をトレースして、アイソメトリック図法で描き起こす。
これは、実際にある漁港である。私が一番よく行くところである。
左下の数列は、緯度経度情報である。
この緯度経度情報をGoogle検索すれば、実際にMAPが表示される。
こんな風に、立って魚を釣っている。
▼他にはこれだ。ここは上の場所から日本海沿いを車で1時間ほど南下した地点にある漁港だ。冬にアイナメやメバルやカサゴを釣った事がある。
▼これは我が家から一番近い漁港である。あんまり釣れないが人気が無く落ち着く。
▼これは漁港ではない。魚釣りのために作られた突堤である。第一突堤から第四突堤まであり、下の図は第二突堤だ。
このように、魚釣りをしていない時、私はこのようなものを作っている。
そして、この度「
SUZURI」というオンラインショップでこれらのグラフィックをTシャツとかトートバッグとかガラスのコップとかにプリントした商品を作ってみたら、どうしたことか結構売れている。
SUZURIで売れた場合、誰が購入したか私にはわからない仕組みになっているので、直接購入者様にお礼を伝えることができないが、この場を借りて御礼を申し上げたい。ありがとうございます。
これで味を占めた私は、また引き続き商品を作ることになると思うが、商品が追加され次第、このサイトで案内するので、ぜひ購入していただきたい。
何卒宜しくお願い致します。