ポッドキャスト「ディグトリオ」と「踊り場で響くラジオ」/ドラム缶焚き火を囲んでインター・プレイ。

2022/12/31
ある類のポッドキャスト番組が好きでよく聴く。どう形容していいかわからないが、いわば、「非エンターテイナーによるエンターテインメント」のようなものが好きだ。もっと言えば、どこの馬の骨がわからない連中が焚き火を囲んで一生懸命なんか話してる、っぽいのが好きだ。ラジオ番組の「ポッドキャスト版」みたいなのはあんまり聞かない。

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今はとても有名になってポッドキャストの新時代の窓を開けたような存在になった「コテンラジオ」も、コンセプトは事業の広報活動の一貫ということではあるが、コンテンツ自体は「どこの馬の骨がわからない連中が焚き火を囲んで一生懸命なんか話してる」である。コテンラジオは「歴史」をあらためて"勉強"してわかった事を発表してくれる。雰囲気レベルでしか知らなかった世界ともう一度出会い直す機会を与えてくれている。ありがたい。

踊り場で響くラジオ」というポッドキャスト番組がある。30代の男3人が喋ってる。その中のひとりが私の教え子の映像作家だから、知り合いバイアスというか、あいつが遠くで喋っているというのが乗っかっているから面白いわけだが、でもそれこそが、私にとって特別なものになっている。他のリスナーがどう思うかは知ったことではないのだ。この番組を聴いていくと、次第に3人の癖や、こだわりや、お互いの距離感、関係性などが見えてくる。不思議と全員自分の友達のような感覚になってくる。

そしてもうひとつ、最近聞き始めたポッドキャストがある。「ディグトリオ」という番組だ。これも、3人の市井の男達が焚き火を囲んで一生懸命なんか話している。面白い。彼らは新潟市に住んでいる農家&消防士&ドライバーだそうだ。私も新潟市在住なので、なにやら「近所の連中」が喋ってるような親近感を感じてしまう。

このディグトリオは、本人たちも番組内で言ってるけど、明らかに"コテンラジオ"のスタイルを踏襲している。関心のあるカルチャーを掘り下げて(ディグって)その結果報告を発表するスタイル。私がディグトリオの好きなところは「うんうん!」という相槌である。3人のうち1人がスピーカー(紹介者)になって「掘り下げ結果」を他の2人に紹介するスタイルなのだが、スピーカーの熱量の高さもさることながら、聞き役の「うんうん!」という食いつきリアクションがいい。まるで初期ビル・エバンス・トリオのインタープレイである。「伝えたいぞ&伝わってるぞ」のラリーが、こちらにもよく伝わっている。私は黒人音楽が好きなので、番組の最初の頃のジャズ特集やヒップホップの特集、Jディラの掘り下げは面白かった。しかし、自分が全然知らないテーマをディグった回こそ面白い。KOHHの回、ニューバランスの回、おジャ魔女どれみの回がとても面白かった。
ニューバランスはいままで興味なかったけど、ちょっと買おうと思ってるし、おジャ魔女どれみ回の「オレも49話観てるわけだからオレもママなわけ」で爆笑したし、LIL KOHHの「ヤングフォーエバー」とかめちゃくちゃ興味深かった。

自分がアツいと思っていることを、友達と教え合う。
あれ観たか?あれ聴いたか?あれ食ったか?これヤバイくないか?
こういう機会や関係って、油断してるとマジで失われていくから、本当に大事。

だからこういう「ドラム缶焚き火を囲む」みたいな機会は意識的に作らないといかんよね。
俺もまたポッドキャストやろうと思う。火を起こそう。

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