スタイルブックを持つということ
2023/02/12
先日、犬飼にスタイルブックを見せてもらった。フォントとレイアウトのスタイルブック。WEBフォントのセミナーの先生をやるってことで、それ用にWEBページを作ったのだと思う。
簡単な見出しと本文が雑誌の紙面のようにダミー写真と共にウェブページ上に組まれていて、フォントの組み合わせ、文字のサイズや行間、文字間、そしてブラウザサイズの違いで印象が変わる。面白い。
あんな内容の文章だったらこうする。
こういう内容の記事だったらああしよう。
っていう、文字レイアウトの"ネタ帳"のようなものかもしれない。
これまでに作った作品や事例を紹介するために整理して貯めておくのが「ポートフォリオ」というものならば、一方この「スタイルブック」というのはなんだろう。
ポートフォリオが「過去の実績」だとしたら、
スタイルブックは「未来の糧」といえる。
もっと言えば、実績が全くのゼロでも作れるのが「スタイルブック」である。
「自分ならこういう時はこうするな。」
「こういうカタチがベストだが、このパターンもある。」
といった具合に、自分の世界観を作る作業場でもあると思う。
本来は他人に見せるようなものじゃないのかもしれない。しかし、非常に魅力的であるのは確かだ。
どんなジャンルでもいい。クリエイターやデザイナーでなくてもいい。
例えば自分の好きな洋服の合わせ方やお化粧のパターン、毎朝の朝ごはんを料理するために書き貯めるスタイルブックというのもあっていい。
スタイルブックは面白い。
クオリティと技術力を見せる「ポートフォリオ」とは一味違った良さがある。
「スタイルブック」からは、それを作った人の価値観と世界観が垣間見えるから面白い。
自分も作りたいと思った。
自分も作りたいと思った。
自分のスタイルブックを作ってそれを持ち続けるということは、自分の世界観やこだわりを捨てずに生きようとする姿勢であって、生産性や合理性とは全く関係のない「美意識」を持つかどうか、という話だ。
たとえば明日とか明後日とかに、圧倒的に合理的な選択肢がテクノロジーの世界から無邪気にやってきたとしても、人間たちよ、スタイルブックは作り続けろ。そして、それは誰かとシェアするべきだ。