マイ・フェイバリット・ベースライン(イヤホン推奨)
2023/10/10

今回は、私が聴いてきた音楽の中から「ベースがめちゃくちゃ良い曲」をベーシストごとにいくつか紹介したいと思います。出来ればイヤホンかヘッドホンをご用意の上、お楽しみ下さい。
ビル・エヴァンス・トリオのスコット・ラファロ
1936年生まれのジャズベーシスト。ジャズピアニストのビル・エヴァンスとの共演で有名です。彼のベースの特徴は、主旋律を奏でるピアノと肩を並べて並走する、自由奔放に歌うような演奏です。主役を引き立たせる名脇役などでは決してなく、もう1人の主役と言えます。ラファロとエヴァンスの掛け合いのような演奏は「インター・プレイ」と呼ばれていて、その後のジャズに大きなインパクトを残しました。
ラファロは1961年7月に自動車事故で亡くなりました。25歳だったそうです。その亡くなる前に残された数少ない名演の中から、ビル・エヴァンス・トリオの「オータム・リーブス」をお聴き下さい。
愛される名演奏は誰かがカバーしているものです。カバー演奏を聴くと、ベースラインの特徴がよりはっきりとわかります。スコット・ラファロのオータム・リーブスのベース・ソロは、リズムがどうなってるかが分かりにくいんですけど、この動画は拍子のクリックがあるのでわかりやすいです。こんな感じです。
モータウンのジェームス・ジェマーソン
「ベーシストの神」とか言われている人です。1960年代のアメリカ黒人音楽の花形「モータウンレコード」で、数々のヒット曲のベースを演奏したレジェンドです。マーヴィン・ゲイとかシュープリームスとか、ジャクソン5とか。そういった名曲のベースはみんな彼の演奏。私が彼の演奏で好きなところは、やはり縦横無尽に動き回るメロディアスなベースラインです。まるでボーカルの裏で歌うコーラスのようです。ジェマーソンは1936年生まれです。スコット・ラファロと同い年でした。彼もまた43歳と言う若さで亡くなっています。心臓病だそうです。
数ある名演の中から紹介したいのは、ジャクソン5の「ダーリン・ディア」と言う曲です。ベースがずーっとメロディを口ずさんでいるようです。やはりこれもスコット・ラファロのように「もうひとつのメロディライン」を歌うようなスタイルですね。
もちろんこの曲もカバー演奏動画がたくさんありました。特に良いこちらをご紹介します。
このカバーは、石川紅奈さんというミュージシャンによるカバーです。
石川紅奈さんのマイケルジャクソンの「オフ・ザ・ウォール」の演奏も最高です。歌声も素敵ですね。
ジャミロクワイのスチュアート・ゼンダー
前述のラファロとジェマーソンから時代はちょっと飛んで、90年代です。このスチュアート・ゼンダーはジャミロクワイのベーシストだった人です。ジャミロクワイのファーストアルバムから3枚目のアルバムまで参加していました。私は中高校生の頃にリアルタイムで聴いていました。私はベースのスチュアートとキーボードのトビー・スミスが作るサウンドがとても好きでした。セカンド・アルバムの「スペースカウボーイの逆襲」は名盤だと思っています。そんなジャミロクワイの名曲の中から、1993年の初期の名曲「トゥー・ヤング・トゥー・ダイ」をお聴きください。ベースがこの曲の主旋律といっていいでしょう。
カバー演奏動画はこちら。
ピチカート・ファイブのキタダマキ
スチュアート・ゼンダーがジャミロクワイで活躍していた1990年代、日本のポップミュージックも多様化しはじめた頃でした。60年代のカルチャーを再構築したり、様々な背景を持つ音楽をミックスしたりする感性が「新しさ」だった時代です。
そんな中で、日本のポップミュージックは「JPOP」と呼ばれはじめました。私はピチカート・ファイブというグループがとても好きでよく聴いていましたが、とても好きなベースラインの曲があります。「悲しい歌」という曲です。この曲のベースはズバ抜けてかっこいいです。ピチカート・ファイブのリーダーでありプロデューサーである小西康陽はベーシストでもあるので、彼がこの曲のベースを弾いているのだと思っていたのですが、クレジットを見るとそうではなく「キタダマキ」という人が弾いていました。この人は90年代のJPOPシーンでたくさんのレコーディングに参加して、いくつもの名曲で素晴らしいベースを弾いているようです。まるで90年代JPOPにおけるジェームス・ジェマーソンのようですね。
それでは「悲しい歌」をお聴きください。
やはりありました。ベースのカバー動画です。
同じピチカート・ファイブでもう1曲すごく好きなベース曲がありますので、ついでにご紹介します。
「メッセージソング」という曲です。これは上記で紹介してきたような、メロディに絡みつくような「歌うベースライン」とは少し違う雰囲気のベースです。ドライブ感のあるエモ目の曲で、ベースも少し前のめりそれが最高なのです。
さて、いかがでしたでしょうか?
世に名ベーシストはたくさんいて、ジャコパストリアス、ブーツィーコリンズ、ラリーグラハム、ピノパラディーノ、ポールマッカートニー、細野晴臣、サンダーキャット、モノネオン、などなどもっともっとたくさんの素晴らしいベーシストとベースラインがあります。今回は私が特に好きな曲を紹介させていただきましたが、例えばビートルズのポールマッカートニーのベースラインだけを取り上げても語り尽くせない程なので、また別の記事でピックアップさせていただきます。ではまた。