買い物日誌007 文具売場で逢いましょう
2008/10/19

ドクターグリップGスペック
\630 購入場所 ITO-YA渋谷店
見慣れない曲線を見掛けたら人間工学と思え、というのは勝手な持論であるが、やかんのグリップやおたまの持ち手など、今や至るところに人間工学は採用されているのだ。
実を言うと、その曲線過多なフォルムがあまり得意ではない。同じ用途の製品を買うなら、直線的でシンプルなフォルムの方を選ぶだろう。
ところで先日、仕事で宛名書きをする機会があった。
まとまった数の伝票を準備していると、同僚氏はこれ書きやすいですよ、とドクターグリップを差し出した。人知れず(出たな!http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E9%96%93%E5%B7%A5%E5%AD%A6" target="_blank" title="人間工学">人間工学!)という気分になる。
猜疑的な顔でドクターグリップを受け取り、文字を書く。
適度な重みと持ち手にコーティングされた衝撃吸収ゲル。文字を書くときのストレスが心なしか軽減されているような気もする。
日に日に借りる回数は増え、一度使えばそれでしか宛名を書きたくない!やだやだやだよう!という状況になってしまった。人間工学は宛名書きに威力を発揮し、今更ながらその書き味にハマってしまったのである。いつしかドクターグリップは我々の間で「書き味なめらかボールペン」というコードネームで呼ばれるようになっていた。
金曜の夜、明日こそは文房具屋でドクターグリップを買おうと思っていたところだった。渋谷駅の改札をくぐる直前で、まさにこの真上に伊東屋があるのを思い出したのだ。伊東屋は銀座に本店を構える、創業100年の老舗文房具店である。
子供の頃、父親は東京に出張するたびにお土産を買ってきてくれた。父親の東京土産はなぜか伊東屋のものが多かった。
ある時父親は、小振りのハサミや定規が正方形の薄型ケースにぴったりと収まったステーショナリーセットを買ってきた。その洒落た文具は随分クラスメイトに羨ましがられたものだ、静岡の子供にとって伊東屋のロゴの入った袋は東京の象徴でもあった。
世の中には文具好きな人たちがいる。使うアテもないのに変わった文具を見つけると買わずにいられない人達。用もないのに定期的に文具売り場にやって来てしまう人達が。
伊東屋の筆記具コーナーは、なかなか最前列を確保できないくらい混雑していた。文具マニアの皆さん(推測)が金曜の夜に伊東屋に集結しているとは知らなかった。
そして、使うアテのないペンやシールを買い込む。もちろんドクターグリップも。
>>記事提供:「リヴィング・トーキョー」
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