チャイニーズ・ルーム

2008/12/15
例えば、ある小部屋の中に、生まれてからずっと、英語しか話したことがないアメリカ人を閉じこめておく。

この小部屋には外部とやりとりをするための小さい穴がひとつ空いており、
この穴を通してアメリカ人の元に一枚の紙切れが差し入れられる。

その紙切れにはには中国の漢字がズラリと並んでいる。

英語しかわからない彼にしてみれば、それは意味不明な記号の羅列にしか見えない。

彼の仕事はこの記号の列に対して、新たな記号を書き加えてから、紙きれを外に返すことだ。
どういう記号の列に、どういう記号を付け加えればいいのか、それは部屋の中にあるとびきり分厚い一冊のマニュアルの中に全て書かれている。

例えば「★△○■×◎」と書かれた紙片には「○▲×」と書き加えてから外に出せ"と言った具合だ。

彼はこの作業をただひたすら繰り返す。外から記号の羅列された紙きれを受け取り、
それに新たな記号を付け加えて外に返す。

すると、部屋の外にいる人間は、
「ああ、この小部屋の中には中国語を理解している人間がいるぞ」と考える。
しかしながら勿論、小部屋の中には哀れなアメリカ人が黙々と作業しているだけ。
彼は全く漢字が読めず、作業の意味を全く理解しないまま、ただマニュアルどおりの作業を繰り返しているだけである。それでも部屋の外部から見ると、中国語による完璧な対話が成立している。



コンピュータとは、こういうものなのですね。
命令されたのプログラムを黙々と処理をする無自覚な小部屋。

これは哲学者のジョン・サールが考案した思考実験「中国語の部屋」と言うやつ。




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