ロード・オブ・ザ・自分 2
私はどうやら趣味に向いていない。
何をやるにつけ、私は「実益」というものを求めてしまい、
どうも貧乏臭くなってしまうのがいつものオチだ。
カメラを買えば、木村伊兵衛写真賞を目指し、
ギターを買えば、武道館を目指す。
そんな具合だ。
以前、ある人には「鉄道にだけは手を出すなよ、人生を棒に振るぜ。」
と、忠告を受けた事がある。その通りかもしれないと思い、
私はおもちゃ屋で、Nゲージを棚に戻した。
見返りを求めない、無意味な時間の浪費。
そういうものこそが私の趣味となりうるのだ。
贅沢と浪費は、今日ではもはや国民の敵ではない。
人生に無償の愛を!暮らしに無駄を!
そんなわけでめぐり合ったのは、こんな品物だった。
無駄の骨頂である。

ジグソーパズル。絵柄はエッシャーの「滝」だ。
モノトーンの1000ピース。しかも騙し絵。
どう、この無駄感!これこそが趣味の世界だ!
余裕で一日を棒にふる。
もう全然進まないし!
つづく