イーゴン自治区

岸本佐知子さん

2009/02/05
今気になる人。
それは、岸本佐知子、さん。
翻訳家にして類まれなテイストを持つエッセイが魅力。

「実録・気になる部分」岸本佐知子

▼こんな感じの日記でした

1月22日(火)
 午後、H社K山さんS谷さんと国技館で相撲。K山さん目当ての安美錦は負け、私の目当て黒海は勝ち。客席にボブ・サップがいて人だかり、近くで見るとけっこうマットな仕上がり。それから10軒ぐらいはしご、人数もなぜか倍に増殖。最後のカラオケ店でK山さん、「次の曲で絶対脱ぐ、たとえ教育勅語でも脱ぐ」と宣言しながら、けっきょくシャツの裾を外に出しただけ。



こういう風に私も日記を書きたいものだ。


▼エッセイはこんなだ。 「ねにもつタイプ」より

二年生の時、朝礼の校長先生の話を聞きながら、うつむいて自分の体を見ていた。体の脇に、腕がだらんと垂れている。手の甲が正面を向いている。それを上にたどっていくと、肘の部分は“折り曲げ線”が正面を向いている。待てよ。変だ。手の甲は“表”、日に焼けて色の黒い側だ。でも折り曲げ線は白くて柔らかい “裏”の側だ。表と裏が同じ正面を向いているのはおかしい。ひょっとして、自分の肘の付き具合は間違っているのではないか。私は急に恐ろしくなり、そっと周囲の級友の肘を盗み見たが、みんな腕を後ろにやったり動かしたりしていて、よくわからない。どうしよう。この先ずっと、この秘密をみんなから隠し通して生きていくのだろうか。そう思うと、校長先生の話も周囲の景色も、すうっと遠のいた。

すばらしくて良いです。

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