ヘルボーイ ゴールデンアーミー

2009/07/18
昨日、映画のDVDを3枚借りてきた。

まず観たのが、ギレルモ・デル・トロ監督「ヘルボーイ ゴールデンアーミー」。
アメコミ「ヘルボーイ」の映画化2作目だ。
つまり、「ヘルボーイ ゴールデンアーミー」は「ヘルボーイ2」であり、
コレを見る前に「ヘルボーイ」を観るべきだったか。

とはいえ、非常に面白かった。
設定だけ説明すると、こうだ。

主人公は、悪魔の末裔・ヘルボーイ。
第二次世界大戦末期、敗色濃厚な戦況の逆転を目論むナチス・ドイツは、
怪僧ラスプーチンの提案により、強大な力をもたらすとされる魔術の儀式を執行した。

だが魔道書『妖蛆の秘密』を用いた儀式は失敗し、
代わりに真っ赤で小さな悪魔の赤ん坊のような生物が現世に召喚された。
その生物はアメリカ軍特殊コマンド部隊に回収され、地獄から来た子供、すなわち「ヘルボーイ」と名づけられた。

特殊部隊に神秘学の専門家として同行していたブルッテンホルム教授が父となり、
愛情を注がれてヘルボーイは大きく育った。
そして教授を責任者とする超常現象捜査局(B.P.R.D.)でトップ・エージェントとなる。

そんなヘルボーイ。

見た目は、言わば「赤鬼ゴリラ」みたいな感じで、
性格は、ビバリーヒルズ・コップのエディ・マーフィーと、
ダイ・ハードのブルース・ウィリスと、
リーサル・ウエポンのメル・ギブソンを足した感じ。
粗野でアウトローだが憎めない。
けんか中の彼女もいて、上司とも反りが合わない。

つまり、典型期なアメリカ刑事ドラマの主人公の系譜を受け継いでいる。

しかしながらモンスターの彼や、彼の所属する組織は、
世間には公表されておらず、表舞台には現れてはいけない存在だ。

そんなしがらみがある中、時折、事件に乗じて、わざとマスコミにばれるように派手に街に現れては、上司にたしなめられる。
放映されたニュース番組を見ては、「出てる、出てるぞ」と、ビール片手に嬉々とするのである。
しかしながら結局市民にはバケモノ扱いされるのである。
「やれやれ、やりきれないぜ。」
と、ひとりごちるヘルボーイ。

このように、「フランケンシュタイン」や「シザー・ハンズ」的な、
「悲しき善意の怪物」の系譜も、ヘルボーイは受け継いでいる。

この映画は、アメリカの刑事もの、フランケンシュタインものを軸に、
魔法やモンスターといった、ファンタジー要素で包んだ、
非常にハイブリッドな仕上がりになっている。

それに、キャラクターが素晴らしく、とてもチャーミングに描かれている。

私が最も好きなシーンは、
ヘルボーイの同僚、エイブラハム(半魚人)が、初めて恋をし、
自分の部屋でラブソングのCDを聞いているところに、ヘルボーイが
「なに聴いてんだよ、エイブ。」と、やってくる。
エイブラハムが、女に惚れたことを察したヘルボーイは缶ビールのパックを持ってきて、
「今夜は飲もうぜ、エイブ。」と、大音量でそのラブソングを流し、
2人は肩を組んで歌うのである。

曲はバニー・マニロウの「Can't Smile Without You」だ。


真っ赤な地獄の申し子と、恋する半魚人が
ビールを飲みながらラブソングを歌う。

 あなたがいないと笑顔になれない。
 笑えない、歌えない。何をするのも難しい…
 あなたがうれしいと、自分もうれしい 
 あなたが悲しいと自分も悲しい…


私はこのシーンでちょっと泣けた。

「ヘルボーイ ゴールデンアーミー」
おすすめです。





Comments 0

コメント、まだ無し。




投稿フォーム