イーゴン自治区

パッキン

2008/07/07
鼻水は、ずっとあるらしい。
以前、季節の変わり目に風邪をひいたときに思った。

「鼻水が止まらない。鼻水の源泉は何処だ?」

アルプスの雪解けのように上の方で固まってた何かが、
折に触れ、溶け出して鼻の穴から顔を出すのだろうか?
人生の先輩に聞いてみた。すると
『いいかよく聞け。鼻水はな、ここにずっとある!』
と、断言された。"ここ"とは鼻の付け根あたりだ。
なるほど、貯水タンクだ。常に備蓄として鼻水タンクがあり、
風邪等で体が弱ると鼻のゴムパッキンがゆるんで、出ると。
私はこの名言を授かって以来、鼻水と共に生きている。

私 「なに食べましょうか?」
先輩「鍋がいいんじゃねぇ?」
私 「じゃぁチゲ鍋たのみます?」
先輩「うぅん…、なんかちげぇ。」
私 「えー…、今のダジャレですか?」
先輩「あ!バカ、ちげぇよ!っあ!まただ!」

期せずして人はダジャレを口にする。
私の気のせいでなければ、それは年齢を重ねるごとに頻繁になる。
これはオッサンギャグではない。意図的にひねりだしたモノでは
断じてないからだ。むしろダジャレの側から選ばれてしまったか
のようである。不幸の矢が刺さる、そんな心持ちだろう。
やがて人はその矢を恐れ、慎重に言葉を選ぶようになるのだ。

私 「イイ車乗りたいっすねぇ…。」
先輩「あぁ…、車かぁ…。あ!今の違うぞ!クルマcar、じゃねぇぞ!」
私 「え?」
先輩「だから、クルマとカーをかけて、どうだとかじゃないからな!」

もう取り憑かれている。ノイローゼといってもいいかもしれない。
私は失礼を承知で、先輩にこんなことを聞いてみた。
「やっぱ、オッサンになってくるとダジャレって出ちゃうんですか?」
すると先輩はタバコを揉み消し、静かに言った。

『いいかよく聞け。ダジャレはな、ずっとある!』

なるほど。ダジャレもそうか。
歳を重ねるとゴムパッキンがゆるんでくるのか。
そして常にある、備蓄のダジャレタンクから漏れて来る、と。

先輩はその"常にあるダジャレ"と共に生きている。
緊張感のある大人である。

がんばれ!先輩のパッキン!

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