オーロラの素
2010/05/09

今年のゴールデンウィークは特にどこかへ旅行に行くわけでもなく、無計画に普段通り過ごした。とは言え毎日街に出て、買い物したりご飯食べたりした。近所の下高井戸で漫画喫茶、神保町で古本、秋葉原、吉祥寺、下北沢、南船橋のIKEAなどに行った。
連休中のある日の夜、
「ウチくる!?」と、のぶさんにメールを打てば、
「いくいく!」と即座に返信がある。
30分もすれば自転車に乗ったのぶさんがウチにやってくる。
なんか凄い。ドミノピザより早い。
朝までお喋りして、一緒に朝飯を食う。
コンバット越前(以下、コン越)にも同様のメールを送ったが、
丁度体を壊してERに担ぎ込まれてた。
そんな大変な中、「行きてえよぅ。」とメール。
安静にしてください。
コン越は、その前の日あたりにレーシックのオペで、
目が凄くよくなっているとの事だった。
別に、レーシックやったから、具合が悪くなったわけではないし、私が呼んだから救急に担ぎ込まれたわけでもないし、のぶさんが驚くほどスピーディーにウチに来て、たまたまその日がのぶさんの誕生日だったからそれらが起きたわけでもないのだが、この日のエピソードはノイズが多すぎて、何がメインのテーマか、さっぱりわからなくなってしまった。
「コン越、救急病院に担ぎ込まれたって。」
「まじで?目か?」
「いや、肺ですって。」
「え?レーシックって肺に関係あるの?」
「無いっすよ。」
「俺、誕生日なんだ。」
「誕生日なのに、ウチにいていいの?」
「まぁ、いろいろあってね。」
「コン越だいじょうぶかなぁ。」
「でも、目はいいんだろ。」
「レーシックって、どれくらいよくなるのかな?」
「4.0くらい行っちゃてるんじゃない?」
「すげぇ、超うらやましい。」
「服とか、透けて見えるんじゃない?」
「すげぇ、超うらやましい。」
何の因果関係もない出来事が並べられている。
何の関連性も無いエピソードが、同時に起きている。
ブラジルでの蝶の羽ばたきがテキサスの竜巻の原因になるっていう、いわゆる「バタフライ・エフェクト」というやつがある。
きっとコン越の視力が良くなった事も、遠いどこかに何らかの影響を与え、同時に、遠いいつかどこかの何かが、コン越の肺の具合に影響している。
のぶさんが誕生日にいろいろあって、呼んだらすぐにやって来たということも、遠くのなにかの影響だ。
私たちの暮らす世界を作っているものは、遠くて些細な事の余波によるものだ。いろんな事が同時に起こる世界ではすべてが必然であり、偶然でもある。
ということは、目の前の妻のあくびが、
北極の空にオーロラを出現させるかも知れない。
なんて。