イーゴン自治区

「血と骨」梁石日

2010/06/23
今まで読んだ小説で、ベストの一冊はなかなか決めにくいけど、こいつは間違いなく面白い!というものはないかと考えてみたところ、あった。これです。

梁石日「血と骨」!





10年くらい前に読んだんだと思います。文庫上下巻。

これはもう、何しろ激しい小説。
セックス!ドラッグ!ロッケンロ!なんて、甘い。

セックス!カマボコ!バイオレンス!ドブロク!高利貸し!
といった具合のカオスな状況が圧倒的な勢いで駆け抜ける。

1920年代。韓国の済州島から日本で一旗揚げようと、多くの出稼ぎ労働者が大阪へとやって来た。いわゆる在日朝鮮人のファーストジェネレーションだ。
この小説は、金俊平という男が主人公であり、彼の激烈極まりない人生の一代記である。
並外れて強靭な肉体を持ち、怒りなのか悲しみなのか狂気なのかさっぱりわからないが、とにかく凶暴な怪獣のようなこの男、気にいった女を陵辱し無理矢理結婚。わけの分からない腐った肉を喰らい、時には人間もケツも喰っちまう。気に入らない奴は殴る。金には細かく、やがて巨額の富を得るが、その凶暴さはとどまることを知らない。
そんな台風のような男を中心に、彼を取り巻く人々の生活や成長、時代と風俗を生命力豊かに描写した傑作である。
主人公の金俊平は、作者の父親がモデルだそうだ。
恐ろしい。

ビートたけし主演で映画化されたが、あれは、駄目だ。
一個も良いところがないので、映画化された事自体忘れてしまえ。

映画「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」のように、得体の知れない凶暴性を抱えた人間を、得体の知れないまま描いた、太くて逞しい作品である。

マジで、面白い。アイゴー!





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