30分でわかる!移民のための新しいサウンドトラック

2012/03/24
30分のミックステープを作りました。20曲で構成されています。
去年の春頃から約1年間、私がいつも聴いてた音楽で構成しました。なんというか、個人的な記録というか、そういう感じでしょうか。全て良い曲です。まぁ、私が選びましたから、私が良いと思うのは当然ですがね。

さて、ブログというものが、それを書いている人間の生活の記録であったり、その時々の気持や何か妙な思いつきや些細な発見などについて、親しい友達やまあまあの友達に伝えるためのものだったりするとします。
その手段としては、写真や文章でお伝えする場合が多いですが、写真の場合はその時に居た場所の景色とか、食べた料理とか、会った人の顔など、自分が見たものをそのまま見せる事が出来ます。
作文が得意な人は、そういうものを文章で上手く描写が出来たり、ちょっと面白くなるように話を盛ったりして伝えたりします。

今回は、写真とかそういうのは無いんですが、私がこの一年間の間、いつも聞いていた音楽を直接聴いてもらって「へぇ、そうなのね」といった感じになってもらえたらなぁと思って、こんな感じになっています。
クラブDJみたいなサービス精神は、今回は残念ながらありませんが、曲毎に説明文もつけてみました。よろしければ、聴きながらお目通し下さい。



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01『Immigrant Song』Trent Reznor & Atticus Ross feat. Karen O
レッドツェッペリンの「移民の歌」のカバー。田舎、都会、田舎、都会と、出たり戻ったりしながらフラフラと生きてきた私は、いつまでたってもどの街の「地元の人」になれず、余所者の移民のようなふわっとした気分でいる。以前からこの曲は「妙にアガる曲」として愛聴してて、ついこの間また田舎に引っ越して来たんだけど、来てすぐに観た映画「ドラゴンタトゥーの女」のオープニングテーマ曲だったから、なんか丁度いいなと思って1曲目に持ってきた。その映画は非常に面白かった。

02『I Fink U Freeky』Die Antwoord
南アフリカ・ケープタウンで結成された2MC 1DJのレイヴ/ヒップホップ・グループ「Die Antwoord(ダイ・アントワード)」の曲。アフリカの白人女性によるラップって初めて聞いたけど、やはり独特なフロウ。歴史は多様さを生み、多様な文化はあらゆる場所で混ざってゆく。それらの全てを進化や進歩とは呼べないかもしれないが、このような唐突な音楽に出会うたびに「俺、長生きしたい」といつも思う。ちなみにこの曲は、台所で控えめに踊る用のトラック。

03『Hold Me』Pacific! (Breakbot Remix)
作曲家にとって自身が作った楽曲は、多少不細工であってもオンリーワンな我が子であろう。そんな産みの親の愛をよそに、Breakbotのリミックスはいつも原曲の輝きを5~8割増にする。つーかぶっちゃけBreakbotリミックスのほうがカッコいい。無論、産みの苦しみは尊いが、育ての親の愛というのも、残酷なほどに美しい。Breakbotの歩いた後にはいつだってスウィートなメロディが踊る。

04『どんどん季節は流れて』七尾旅人
『一生君を守り続けていくと、、、』という歌い出しで降参である。男としてどうあるべきかなんて、そういうマッチョなのはお断りだ!と、斜に構えていた季節はどんどん流れて、一転、やっぱ男はさ。。という自問自答のループ地獄。しかしまぁ「一生君を守り続ける」なんて臭いセリフにも、意外と芯食ってんじゃね?なんて思う年頃に、私もなったのだろうか。これから河島英五が染みてきたりするのだろうか。

05『日常』星野源
星野源はいつも綺麗事を歌う。小学校の先生みたいな、反論の余地もない綺麗事を歌う。綺麗事ってのはいささか厄介だ。ヤツはまっすぐこちらに突進してくる。私はスペインの闘牛士のようにひらりとかわす。「綺麗事言ってんじゃねぇよ!オ・レ!」しかし、星野源の綺麗事は誘導ミサイルのように追いかけてくる。わずかな隙間であろうとも、ターゲットの「素直な部分」に向かって飛んでくる。綺麗事が素直な部分に当たる時、人は勇気を獲得するようだ。星野源の才能は、なんかこういう事だと思う。

06『寝れない』PSG
東京都板橋区の、素晴らしきヒップホップユニット。パンピー 君、スラック君、ガッパー君の3人組(パンピー君とスラック君は兄弟)。ゼロ年代ってヤツのひと味違うセンス・オブ・ユーモア。ユニークな日本語のリリックを、聴いた事無いような絶妙にカッコいいフロウに乗せて彼らは語り出す。トラックも大好き。あと、日本語による音楽的な表現として最新型なんじゃないかな?と思ったりもする。私にとってこの曲は、タイトルの通り、眠れない夜によく歌ってた1曲です。寝れないっすわ~。

07『Pop Culture (live mashup)』Madeon
この曲は、フランスのMadeonというミュージシャンが、39の楽曲をサンプリング&マッシュアップした1曲です。しかもライブ演奏。聞き覚えのあるフレーズが次々と通り過ぎて行く、スリリングな1曲。元ネタありきで作られた良質なポップミュージックは、どんどん作られるべきだ。この1曲の向こう側に少なくとも39の楽曲があり、その39曲の向こう側にもきっと元ネタが無数に眠っている。ググれ!ディグれ!ポップの源泉を遡る旅は長く、深く、そして楽しい。

08『I Wanna Be Your Lover』Prince
私は「プリンス強化月間」を、毎年設けている。数年前から始めたのだが、以来、プリンスの楽曲が色褪せたり、かっこ悪く聴こえた年は、今のところ無い。個人的には、プリンスが体現しているあの「セクシーさ」に関しては、全く理解することは出来ないのだが、なぜか心が躍る魔法にかけられてしまう。君もそうだろう?つまり、人は皆、心に小さなプリンスがいるのです。たぶん。

09『I Love You』Weldon Irvine
この世に愛というものがあるとして、それは求めるものか、それとも捧げるものか?きっと両方なんだろうけど、そこで気になるのがレートであり、景気動向である。愛が交換可能なものであり、価値のある実物資産であるならば、私はそれに惜しみなく投資することもやぶさかではない。今、世界には「I Love You」が溢れている。インフレだ。この愛が紙クズ同然にならなければ良いが。しかし、この曲を聴けば、それが杞憂である事がわかる。

10『Obsession』Claude Williamson Trio
クロード・ウィリアムソン・トリオの1954年のアルバム「KENTON PRESENTS JAZZ」からの1曲。私は白人のジャズピアノトリオが好きで、このクロード・ウィリアムソンという人は、「白いバド・パウエル」と呼ばれた、西海岸出身のビバップピアニストだ。まぁ、彼について知っている事はこんな感じのバイオグラフィーの概要だけなんだけどね。彼の演奏には歌心みたいなものを感じて、聴くと爽やかな気分にしてくれるから好き。そんだけ。別にウンチクはいらないでしょう?

11『Save Your Love For Me』José James
ホセはいいね。このホセ・ジェームスとの出会いは、個人的には「ディ・アンジェロ以来の興奮」といった感じだ。この緻密にエディットされた「後ろ体重のグルーヴ」が醸し出す色気にはヤられるね。モテる音楽だね。モテトラックだね。ヘッドフォンでこれ聴いてると、なんだか自分もモテるエロ男になった気になるね。ヤグザ映画観た後になぜか強くなった気分になるのと同様のプラシーボ効果か。

12『Offshore Monsters』Josef Melin
北欧スウェーデンの若者、ジョセフ・メリン君の曲です。少ない音数で構成された勇気あるAORの名曲、という風に私は評価しています。もちろん、メロディーや音色のセンスは抜群ではないでしょうか。大好きな曲です。かなり抑えめだけど、その確かなファンクネスが私の小躍りを誘います。

13『コアラの鼻の話』テレビドラマをサンプリング
音楽じゃないですが、ちょっと挟み込んでみました。直近1年で観たテレビドラマで一番良かったのが、フジテレビの「それでも、生きて行く」だ。ストーリーや演出もさることながら、どの出演者もとても魅力だった。いささか重たいテーマをあつかった内容ではあったが、私が好きだったのは、過酷な状況の渦中にありながら交わされる、主人公達のくだらない会話だ。私の人生は恵まれており、今のところ、過酷さとは無縁の毎日を送らせていただいている。しかしながら、私の人生にだって、シリアスなシーンは人並み程度にはやってくる。そんな中でも、このような「くだらない話」が途切れる事無く一生を全うしたいと思っている。正直言えば、出来るだけこんな感じの「くだらない話」だけして生きて行きたいと願っている。 くだらないの中に、愛がある。

14『Hit It Up』Paul Johnson
以前読んだ「仕事を効率化するためのライフハック」みたいな本にこう書いてあった。「何かを考える時はヴォーカルの無いジャズが良い。やる事が決まっている単純作業の時はテクノやハウスのような反復的なダンスミュージックが良い」。仕事をする時に聴く音楽についての事だ。これは意外と合っている気がする。企画書を書く時や、アイデアをひねり出すときはジャズ合う。ボサノバやクラシックだと寝てしまうし、ラテンだと帰りたくなっちゃう。計算とかリストアップのような単純作業の場合は、こんな感じの曲がはかどる。管理職の皆様、オフィスで音楽を流す事は業務効率化の一助となります。選任のDJの採用もご検討下さい。これは、あなた方の好きな「改善」というヤツです。

15『きらきら武士』レキシ feat. Deyonna
フィーチャリングの「Deyonna」とは、椎名林檎さんの事。椎名林檎のデビュー当時からのファンである私は、彼女が他のバンドとかにゲストで参加する楽曲も、例外無く大好物だ。この曲は、例えば、中学校の時に好きだった女子が自分とは別の高校に行っちゃって、その後しばらくして、自分の友達とカラオケボックスに行ったら、隣の部屋入り口のドアの窓から中が見えて、その好きだった女子が高校のクラスメイトの男子たちとスゲぇ楽しそうに踊りながら歌っているのを見ちゃったような感覚、と言えば、わかってもらえるかなこの俺のKI・MO・CHI。

16『さよならGood bye (LIVE)』チャットモンチー
本当はよくわかっていない事や、本当によくわかっちゃった事、そういうものがいくつもいくつも積み重なって、ミルフィーユのように人生は出来上がって行く。いつの間にかこんなにもうず高く積み重なってしまったミルフィーユの層を、ふと折に触れて見上げてしまう。そんな時、私たちは例外無く「青春」という状態になってしまうような気がする。青春とは、困惑であり破壊衝動であり根拠の無い自信や納得であり、そして、何かを少しだけ諦めてしまった事に気がつく、後ろめたい季節であるのかもしれない。なんて、随分年下のチャットモンチーは私に耳打ちする。マジ、迷惑だぜ。

17『MUDDY SKY』LITTLE CREATURES feat. UA
高校1年生の時に、姉のクラスメイトが作ったミックステープに、この曲が入っていた。私は凄く気に入って、何回も何回もこの曲を聴いていたような気がする。このバージョンは、UAが歌っているからか、オリジナルとは随分印象が違うのだけれど、リトルクリーチャーの音楽が持ってる異国情緒を損なわずに、もはやなに語なのかすらわからないヴォーカルがその異国感を加速させているようで割と好き。つーか、UAって歌上手いの?私はあんまりそうは思わない。

18『君はそう決めた』坂本慎太郎
元ゆらゆら帝国の坂本慎太郎のソロ曲。淡々とした都会の歌。ある日目が覚めたタイミングで、自分にとって重大な決定が出来てしまうことがある。パジャマ姿のまま歯を磨きながら洗面台の鏡の中の自分と目が合い、「うん、よし、そうしよう。」という具合に大きな決断をする。そういう事ってのがある。私にもそういう朝があった。何かを判断する時、その判断に伴う様々なメリットやリスクを検討する事は大切な作業ではあるが「決める」という最後のボタンを押す動機には、必ずしもならない。そのボタンを押すのは、きっとこの曲のように、ふと、やってくる。カーテンの隙間から漏れる、程々に良い日差しのようなタイミングで。

19『ほろびのくに』ビーフ
宅録家のビーフさんは、こういう歌を歌う。彼が言う「ほろびのくに」っていうのは何だかわからないが、きっと「滅びの国」では無いような気がする。さあ、ゆこう。

20『甘く危険な香り』山下達郎(オリジナルラブによるカバー)
「あなたの、思わせぶりな口づけは、、」なんという格好いい歌い出しであろうか、すごいな山下達郎よ。田島貴男が歌う事で、何やらこの言葉も随分生々しく響いてくる。「思わせぶりな口づけって、どんなだろう。。。」と、いい歳して男子中学生のような気分になってしまうのはいつもの事だが、問題は「あなた」って誰よ!と、鑑識が現場に残された指紋と、アーカイブ化された全ての前科者の指紋とをコンピュータで高速に照合するようなスピードで、私の脳内に溜め込んだ女性タレント名鑑と、その「あなた」の照合作業が始まる。残念ながら、その処理は未だに終わらない。。。

21『愛してます』PSG
またPSGだ。トラックはオリジナルラブの曲だ。PSGの良さは、さっき書いたから割愛するが、今回の20曲の中に2曲入れてあるという事から、よほど好きなのだろう、という温度感を察していただきたい。サビの歌詞「そういや、あの頃、つまんないことthinking」というところがある。「つまんないことthinking」である。この言語感覚にもう1,000円払うよ。いや2,000円払う。




ちょっと長くなっちゃいましたが、以上でおしまいです。気にいったのがあったら、ググってみて下さいね。たぶん全部YOUTUBEとかにあるんじゃないかと思います。

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